Taproot〜アメリカ発。自閉症児タマ&教育の現場

自閉症児タマの母/特別学級職員のmakiが発信する日々のあれこれ。

May 2015

今回は、"The Happiest Place on Earth"(地球で1番ハッピーな場所)のキャッチフレーズでお馴染みのディズニーランドでの遭遇。

本当は 怖いくせに、絶叫マシーンに乗るのが大好きなタマ
全部のジェットコースターに乗るのがタマの特盛りコース。

金曜日&週末は夜中の12~1時まで開いているパーク。
ディズニーランドの強気な高額入場料。こっちも「 最後の最後まで遊ぶぞ‼」と強気な遊び根性発揮。
時計が11時PMを回り、3男坊は既に沈没
タマはダンナとお兄ちゃんとこの日2度目の スペースマウンテン に。

大人がちょこっと腰を掛けるのに丁度よい高さの花壇に座って、寝ている3男坊と待機していた私。
でも、落ち着かない気分...。
それもそのはず。
私の隣に座っている「男」からの視線がすごかったんです ←←←
鹿とか馬なら草でも食べているフリをして私をジロジロ見ている人を余裕で見る事はできますが、そんなスゴ技は不可能。はじめは知らんぷりしていましたが、数分経ってもまだジロジロ。だんだんと不快な気分に
渾身の「イヤ顔 」で抗議しようとジロジロ犯をキッ っと見ました。
目に映ったのはとても穏やかな笑顔の男性。
ハリウッド俳優のショーン・ペンにそっくり。
しかもこの写真のショーンとそっくりな笑顔。↓ ↓ ↓ ↓ ↓
sean-penn



















(写真提供元: www.businessinsider.com)
「変態男」を想定していた私は、「 あらっ?」と拍子抜け状態。
この男性は私の事を見て、まだ穏やかに笑いかけています。
なので、"Hello"と挨拶をしました。
彼も"Hello"と。

いつ頃からそうなったのか私自身も思い出せないのですが、(オーラ?雰囲気?を)見ただけで「自閉症の人」っというのがわかるようになっていた私。だから、危うく「変態男」扱いされそうになっていたこの方も、30代前半の自閉症の方だとすぐにわかりました。

会ったばかりの人に「あなた自閉症ですね?」なんて単刀直入に聞くのはさすがのアメリカでもないので、私は彼に話し続けました。
「1人でディズニーランドに?」
「いいえ。」
「お友達と?」
「うん。」
「お友達と一緒にスペースマウンテンに乗りに行かなかったの?」
「いやいや。あの乗り物苦手だから。
あはは。そうなんですね。今私の子供達がダンナと乗りに行ってるんですよ。」
「この子は寝ちゃったんだね。」
「笑 そうそう。コレが一番チビの息子。」

ここで、私が切り出しました。
「私の2番目の息子は自閉症児なんですよ。」
ボクも‼ ボクもです‼」
「うちの自閉症の息子はスペースマウンテンとか大好きで。」
あはは。耳に触れる空気の音が好きなのかな?」
「ほぉ 。なるほど。」

このコミュニケーション。

普通の会話のように取れますが、実は私だけが言葉を使っていて、彼は全て顔の表情、ジェスチャー&手話。つまり彼は無発語
「私の言っている事はわかるんですね。」
「はい。」
「言葉は使わないんですか?」
や~。あんな面倒くさいものは嫌だ。」←この時の彼の表情は、シブ柿を食べ→どんぐり入りシブ茶 を飲んだように「最強にイヤ」という表情でした。← なんか可愛かったですけどね。

「私の息子も言葉が苦手で。」
「そんなの平気。 平気。 あなたや周りの人達に、息子さんの気持ちや言いたい事は伝わってるでしょ。」
「はい‼でも、あなたはご家族やお友達と会話する時も全く言葉は使わないんですか?」
私がそう聞くと、
「これ。これ。」っと。
彼はポッケから携帯 を取り出してテキストメッセージを使ってコミュニケーションを取る事もあると教えてくれました。

こんな不思議で素敵な会話をしたのは初めての事。

言葉を聞き取る事・ 発する事は一体どんな感覚なのか、成人自閉症者に直接聞いてみたらいいかも 」と思いデビーさんと繋がりましたが、聞きたかった事は聞けずに終了
この自閉症男性こそ、私が探していた人だと心はキラキラ星状態。
しかし 「これはディズニーマジックなの?」と思うくらい、いつの間にか彼は人混みに消えてしまったのです。
「きっとお友達がスペースマウンテンから戻ってきたんだろうな。でも、まだこの辺にいるはずだからタマが戻ってきたら紹介して連絡先をもらいたいな。」と強く思っていましたが、彼を見つける事は結局できず...。

名前も聞けず、も~残念で残念で布団の隅っこをかじって地団太を踏みたいくらい残念でした。
私の中では彼の名は「 ショーン・ペン 」。
私の中では彼が教えてくれた事も「 アカデミー賞 」。
怖いくせにタマがジェットコースターが大好きな理由は「耳に触れる空気の音」とか、
「言葉だけがコミュニケーションの手段ではない」
「自閉症の人達の中には、言葉を使う事が非常に渋い苦痛に感じる人もいる」とか。
後者2つは大きな ヒントになり、タマにiPodを持たせてみる事にしました。
「おぉぉぉぉぉ
教えてもいないのに、キーボードを使って、
anpanman←はい。やっぱり出ました。
space mountain←はい。はい。
michael jackson←え?笑
r2d2(スターウォーズの丸い頭のロボット)←これも大好きだよね。
nhk←そうです。日本放送協会のNHKです。爆笑
などと、自分でスペルしてYouTube動画を観ているではないですか。笑
タマの頭の中にはたくさんの情報・知識が入っているけど、その情報を自発的に声にして伝える事はしないんですね。考えてみれば、「もっともっと話せるようになって欲しい」と思うのも、「こちら側」の都合を考えた要望であって、タマの気持ちを完全無視してまで、発語トレーニングしようと力み過ぎなくてもいいなっと気づく事ができた遭遇でした。今はまだテキストメッセージを使ってのコミュニケーションはやっていませんが、いつかその時が来たらタマと一緒にやってみようと思っています。
いつかまた「ショーン・ペン」に会いたいな...。

マシューと悲しくも希望に満ちたお別れをして、次に配属になったのは2~4年生の中度~重度自閉症児学級のクラス付き助教員のポジション。ジョスリンは、ココで出会った3年生の重度自閉症生徒。
自閉症3人姉妹の末っ子のジョスリン。

マシューに負けず、、、っと言うより、マシューよりもガタイのいい9歳の女の子。
ガタイは良くても、整った顔立ちの本当に キュート な生徒でした。
意味のある言葉は、あまり発することはできませんでした。
大嫌いな授業が始まると、 靴をぽいっ ぽいっ と脱ぎ捨て、床に大の字に寝っ転がって「のぉ 」っと主張。
学校中に響き渡るほどの大声で泣き叫ぶので、 校長が教室に様子を伺いに来る事もしばしば

そんなジョスリンが大好きな物→髪の毛。
正確には、頭皮から生えている髪の付け根がたまらなく大好き
チャンスさえあれば、人の髪の毛をかき分け、頭皮+髪の付け根を見ながら「ヘア」と言っている生徒でした。

「リーブ21」とか「アデランス」のCMでよくある「あなたの頭皮大丈夫?」的な検査で、マイクロスコープを頭皮に密着させてモニターに映し出す拡大画像ありますよね?思わず「うわっ ブル 」っとなるやつです。笑
多分、ジョスリンの目には頭皮から生える髪の毛が「あなたの頭皮大丈夫」の拡大画像風に見えていたんじゃないかな?って思います。まるで稲の田んぼのようにぎっちり生えている髪の毛がなんとも不思議なんでしょうね。
【ちょっと寄り道】私達にはない特殊能力を持っている事もある自閉症児。
以前にもこのブログで書いた事がありますが、例えば50ヘルツの電気周波数なら、蛍光灯の中で光が毎秒50回行ったり来たりするのが見える子もいるんです。そのような子は蛍光灯を使っている教室では視覚刺激が強すぎて、調子・行動に影響が出てしまう事もあります。想像しただけで、私も「おぇ」っとめまいがします。


ある日の休み時間。
いつものように、校庭のブランコに揺られての~んびりしていたジョスリン。
そこへ、見知らぬ 中年男性が学校区事務局からのお偉いさんとこちらに歩いて来ました。
ジョスリンはその中年男性を見ると 、ブランコから立ち上がり、吸い込まれるようにその男性に向かってひらひらと歩いて行きました。人にケガさせる様な危険行動はないジョスリン。ここは私達も行動を目でしっかり追うだけで、「そっちに行ったらダメだよ。」とは言いません。休み時間ですし。

次の瞬間。
その場にいたスタッフ全員が「一斉金縛り 」に。
私も「こ、これは 」と予想だにせぬ展開に、心の中で「 きゃぁぁぁ‼」っと真っ青な悲鳴。

この中年男性。
彼の頭皮は「進化した頭部」「毛深くないお方」「不毛地帯」と言えばいいのか...。
早い話、ハゲだったんです。 すいません。どのようにやんわりとハゲを表現できるのかわからないので、とうとう書いちゃいました。そうなんです。ハゲた方だったんです。

ジョスリンは、iPadの画面拡大の時の ぐお~ん というあの指の動きで、この男性の頭皮を操作(?笑)しようとしてみたり、人差し指でちょん ちょん と突いてみたりしていたんです。そして、不思議そうな顔をして言いました。
「のぉヘア。」

事務局のお偉いさんは固まっている
大急ぎでジョスリンの弁護と謝罪に。
ジョスリン付きのABAセラピストが言いました。
「ごめんなさい! この子は私が担当している生徒で、髪の毛が大好きなんです。」
「髪の毛」という単語 をキャッチした私達は、「 No 髪の毛→✖✖✖」と手話&ジェスチャーで必死の無言伝達。それをキャッチしたセラピストは「あ、あの 頭皮が好きなんです。ごめんなさい‼」と。

そして判決は下りました。

あはははは‼全く気にしてないからOKですよ。」
この中年男性は豪快に笑ってジョスリンの肩をポンポンっと。
この一言で、お偉いさんの表情も緩みやれやれ
緊張の糸がぷっつり切れた私達スタッフの次なる試練は「ここで一緒に大爆笑しちゃっていいの?」という微妙な空気。スタッフ間で「え?どっち?」の視線会話が飛び交います。みんなお互いの顔を見るだけで笑いを噛み殺すのが難しい状況。とにかく今は笑ったらダメという全員一致の視線会話だったので、ひたすら謝罪し、お偉いさんとこの男性の姿が校舎の影に消えるまでがんばりました。カロリー消費が非常に激しかった数分でした。
そして、一斉大爆笑。当本人のジョスリンは何事もなかったかのように再びブランコに揺られ穏やかな表情。

ジョスリンをはじめ、ここのクラスでも出会った生徒達から多くを学びました。
言葉が全く出ない生徒もいたこのクラス。多くの生徒に個人セラピストが付いていたので、最新訓練を受けているセラピストから新しいABAのスキルも学べました。怒っている時、悲しい時に手を引っかいたり、バシバシ叩いて気持ちを私達に伝えてくる生徒もいました。アザや傷だって負うこともあります。生徒の気持ちを理解し、ABAを用いて別の方法で気持ちを伝えられるように指導するのです。朝会うと、生徒達が見せてくれる笑顔、嬉しい・好き・信頼してるよという気持ちがたくさん詰まったハグ。言葉が無くても、気持ちは通じるのです。そりゃぁ言葉をもっと発せるようになってもっともっと思っている事を解ることができたらいいなって思う時だってたくさんあります。でも、タマやこの生徒達が持っている好奇心とか、卑屈な意味で『相手を見て自分の態度を変える』という事がないキラキラした心はいつまでも失わないで欲しいなって思います。
ジョスリン、ありがとうね‼
ジョスリン












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