Taproot〜アメリカ発。自閉症児タマ&教育の現場

自閉症児タマの母/特別学級職員のmakiが発信する日々のあれこれ。

March 2015

「よし。」
鉛筆 「よし。」

いくぞ、タマ
100歩譲っても決してかわいいとかおしゃれとは言えない変なクマや虹の絵の表紙絵&文房具屋で危うく笑いそうになった名称「Waku Waku わんぱく らくがきちょう」を前に、さっそく最初のお題。
1 + 2。
「自閉を超えて」から、タマに選んだ計算マスター法はコレ。
【注】もちろん、数え間違えはナシでです。(笑)
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STEP 1→始めに私がこのように〇を描いて、タマに見本を見せます。

1 + 2 = 
    〇 〇

STEP 2→そして、指でも鉛筆の先っぽでもいいので、1から数えるという事をやって見せます。

1 + 2 =
1    
     2   3

STEP 3→答えが出ます。

1+ 2 = 3

ポイント〉言葉を発する事・理解する事が苦手なタマには余計な説明やステップを省く事が一番。本での見本のように〇の中に数字もちょんちょんも書かせません。

私が計算をやって見せると、タマの目は ピカピカ と輝き、 うひひ顔に。
ふふっ。 これは数回練習したらマスターしちゃうかも 。楽勝コースってやつ
ほくそ笑み イン ジャパン。
3度ほど、私が計算をやって見せたあと
"Your turn!" (タマの番だよ!)

タマが1+2に取り掛かります。 ☚「がんばれタマ!」
視覚優位のタマ。 ☚「さすがタマ!」
ちゃんと数字の2の下に〇〇と描き始めました。 ☚「その調子。タマ!」
っと、
次の瞬間です
タマが描いた〇〇を消しゴムでごしごし消去し始めるではないですか
そして描き直した〇〇は...。
古代トンボ級の巨大〇〇。
ど~ん

えっ
タマの行動と〇のデカさに驚きを隠せない私
タマの目の ピカピカ は、計算に向けられた眼差しではなかったのです
消しゴムを取り、 深呼吸してもう1度
私が再度 1+2と書いていると、タマは ケタケタx1,000。
さっきの巨大〇〇に某アニメキャラの顔を描いていたのです。

突然ですが、ココで問題です。
【問】 タマが描いた某アニメキャラとはどなた様だったでしょう?

「のぉぉぉ~ 恐るべし〇の威力。こんな所にまで落とし穴があったか 」っと、目標達成前の先走りほくそ笑みの危険性を再び思い知らされました。
解決策として、〇の代役に選んだのは"Tally Marks"(タリー マーク)。
日本では、数を数えるのに「正」の文字を使いますよね。
漢字を使わないアメリカでは、数え易くするために縦棒+斜め棒を使うのです。
これが、"Tally Marks"。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
Tally_marks




1
+ 2
   l l
     2 3
っとなるワケです。

タマもコレで数字に集中できましたが、この1+2を完全理解するまでに 2カ月かかりました。 (言い訳:年に1度っきりのお里帰り。みんなには「バケーションでいいね~。」と言われますが、「バケーションじゃなくてオブリゲーション(義務)だよ。」と応える私。実家(東京)でも、ダンナの実家(山口)でも、家事+なんだかんだで忙しく、ゆっくりできる時間もリラックスできる時間もなかなかないのが現実。重ねて、日本の夏のサウナ的猛暑でヘトトロ。)アメリカに戻ってからは毎日練習。「 もうやだ~! 」と泣きたくなる事も何度もありました。継続は力なり。10分でも30分でも毎日続けていれば、きちんとできるようになるのです。
最初の1歩にものすごく時間がかかるのがタマ。
最初の1歩を踏み出したら(完全理解)、そこからは新幹線並の速さ で進めるのがタマ。
これが、タマの学びの法則。

「Waku Waku わんぱく らくがきちょう」のページが無くなる夏休みの終わる頃。
タマは繰り上げのある足し算もマスターしていました。

そして引き算。
長年のABAでタマがマスターしていた「マッチング」(同じにする。同じ物を揃える。)&足し算を応用しました。
「どうして引き算に足し算なの?」っと思いますよね?
理由は、引き算の答えは引く数字との和だから = 要するに足し算。

タマはこんな風に引き算をマスターしました。

STEP 1→「マッチして。」と言い問題を見せます。
8 - 4

STEP 2→4から数えて8になるまでのTally Markを4の下に描きます。
8 ‐ 4
    l l l l
    5 6 7 8
STEP 3→書いたTallyの数が答え。
8 ‐ 4 = 4

引き算には難関、『隣の位から借りて引く』が待ち構えていますが、数の大小がわかれば、「引けない時にはお隣さんから借りる」と繰り返してやって見せたらできるようになりました。

タマの計算マスター法は、ナンバーライン使用の学校では前代未聞の方法。
その年のIEPで指摘されました。
「答案がTally Markいっぱいで見にくいと思いませんか?ナンバーライン使用なら、こんな風にはならないですよ。」と。
そこへ、学校カウンセラーが
「どんな方法を使おうと、タマがわかる方法でいいじゃないですか。出す答えは合ってるんですから。」と、タマへのサポートの言葉を下さり、OKという事になりました。
もちろん、徐々にTally Markは使わなくする事(フェードアウト)・頭の中で計算(暗算)できるようになる事が次のタマと私の課題になりましたけど

【突然問題の答え】
アンパンパン

「日本に行ったら有隣堂。」
心に決めていざ一時帰国。
しかし!
翌日有隣堂に足を運ぶも
「こちらの書籍はお取り寄せになります。」と、店員さん。
...。」

『ノンタンおやすみなさい。』
『アンパンマンをさがせ!』
買わされ(←笑)買って本屋を後にするあの非充実感。

「自閉を超えて 上・下」 (学苑社・石井 聖 著) がやっと手に入ったのは1週間後。
表紙カバーの帯には「自閉症状が消える! ●問題行動の謎が解け、目からウロコが落ちる。●"認知障害"の壁を突き破るための水先案内の書」という神的フレーズも。
おぉぉぉぉ」っと歓喜のドキドキ。

もちろん、最初に読んだのは「たし算とひき算」の章。
この章を簡単にまとめると、
例えば1,2...6まで書いたところで睡魔=つまらない魔に襲われ「ぼけ~っ」としてしまっても、「ん?さっきどこまで数えた?」っと記憶喪失→また「1」に戻って数え直す事の繰り返しをなくすため、「4」でも「8」でも、前後に来る数字が書ける・理解するようになることが必須前提前提がクリアーできれば、自閉症などの認知障害者にとって、たし算・ひき算は簡単な操作。←ココ重要。
これを日常生活にも当てはめ、例えば「本を買いに行く」という目的を10段階のステップに分割したとすると、ステップ10にたどり着くまでには「家を出る」「バスに乗る」「どこで降りる」などの前ステップがあるわけで、途中で悪魔=おいで~魔(小腹が空いている時には大変危険ないい匂いなど)に襲われ「ん?今何してる途中だったんだっけ?」っと記憶喪失→またふりだしの「家を出る」に戻って思い出してみるという無駄をなくすのにも役立つと言っているんですね。

果たしてタマは。
1~10まで書けるか?
 1~10まで数えられるか?
途中からでも数えられるか?
ついでに逆からでも数えられるか(カウントダウンができるか)?

よっしゃ~
全項目にチェック入りました。
長年のABAトレーニングで1~10の数字だけでなく、100まで数字を読み書きできていたタマ。
「んで?どうやって計算教えるの?」
ペロッとページをめくって気になる実践法を目にした私は...。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
「え?〇に数字書いて数える?」
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「え?ちょんちょんで〇数える?」(数字からのフェードアウト)
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一体何のための必須前提だったのか疑問に思う計算方法ばかり。

でも、ありました!ありました!
タマ用にアレンジして使える計算法。
それは、コレ。
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「...というようような誤りも起こりうる。つまり、4から数えなければならないところを、3と数えてしまい(7)という答をだしてしまったのだ。これは、買った品物を一つ置き忘れてしまったような物である。このような過ちは、序数による計算の仕方を徹底的に教え込むことによって消失していくことだろう。」(自閉を超えて (下) P.104より抜粋)
でも、この👆解説を読んで「ぷっ」と数回笑ってしまいました。
ぷっ①→『消失してくことだろう』って。なんでココでいきなり憶測になっちゃうの?
ぷっ②→表紙での神的フレーズ「目からウロコ」とは、あまりの普通さに3、4度見してしまう計算法例?
ぷっ③→だからどこ行っちゃった必須前提?まるで神隠し状態。
ぷっ④→脳裏をよぎる「¥4,854+
」という上・下2巻分の本代。
注1)本を全部読む前の率直な気持ち。

ま、いいか。タマと計算をマスターするためのヒントは得られたし。」
思い直して、ここからタマと計算の実践が始まりました。
「ミニぽわぽわ」も「小魚デラックスセット」も不要。
うち流ABA。要るのは紙と鉛筆のみ‼

注1)「自閉を超えて」は、数・計算を教える方法に関しては「いまいち」というのが私個人の意見です。他の章では「なるほど」と思う自閉症特有の問題行動の説明やその対処法が書かれています。興味のある方は最寄りの書店で「お取り寄せ」でどうぞ。

つづく

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