一本の不穏な電話。
それは、学校区事務局のABAプログラムマネージャーからでした。

マネージャー:「年間契約更新の時期が近づき、現在のABAサービス提供会社の更新はしない事になったので、来月からは別のABAサービス会社になります。」と。

maki: 「WHAT? そんなバカな~!なんでですかぁ ???」

マネージャー: 「僕自身も残念なのですが、上が決めた事なので。」

maki: 「上って誰ですか?今のABA会社になって、タマも私も進歩ができている時に、何が理由で更新しないって決めたんですか?」

マネージャー:「上に聞いて下さい。連絡先はコレです。」

博士号付き の女性の名前と肩書(特別支援教育のトップ)を聞いて、思わず想像してしまったのは、金髪ショートボブ 。ビシッと黒のスーツに黒のハイヒール。
しかし、相手がどんな人であろうと納得の行く理由を直接聞けるまでは「はい。わかりました。」と簡単に引き下がるワケには行きません。
タマと私にとっては(とっても)x10重要な事ですから。

「親にABA提供会社を選ぶ権利はない。」と言う州の法律【注1】も知っていましたし、私の住む町の学校区は予算削除で財政が厳しく、高額なABAサービスから切って行こうとしている事も知っていました。
でも‼「予算が理由で特別支援を受けている生徒達のサービスを除去してはいけない。」という法律【注2】も知っていたので、メールを早速送信し、丁重に質問をしました。【注1】I特別支援を要する生徒の親にはカリフォルニア州特別支援教育法 「生徒と親の権利」が簡易に書かれたパンフレットを配布する事が学校区に義務付けられている。更に詳しい事を知りたければ自分でウェブで。【注2】この法律は学校区配布のパンフレットには記載されていません。当たり前ですよね。親が知らない方が学校区には有利な法律ですから。笑

返答は
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
「学校区と契約雇用しているABAサービス業者を2社にまとめる事で、更に洗練&フォーカスしたサービスを提供するためです。息子さんのケースに付く次のABA提供会社は長年の実績もあり、今のABA提供会社にも劣らないはずです。スムースに引継ぎができるように1か月間、両ABA提供会社が共同でサービスをしますので。」

ちっちっちっ
侮るべからず。
自閉症児を育てているお母さん仲間ネットワーク

ネットワーク情報によると、学校区が絞ろうとしている2社のABA提供会社のうち1つは、急激に規模拡大したために、セラピストのクオリティーが大幅ダウンした「あの」会社だったのです。そうです。「変えて下さい。」と嘆願した会社です。もちろん、次のタマのケースにはこの会社ではなく、この学校区ではよく聞くもう1つの会社だったのです。

「さすが。予算の事には触れなかったな。笑 それにしても何?このマニュアル通りの返答?タマの事も、今のABA会社がどれだけタマのニーズに合ったサービスを提供してくれているかも全く知らない「上の人」なのに、『更に洗練&
フォーカスしたサービス』なんてどうして言えたもんだろう?」

そう思った私は、以前と今のABAサービス会社でのタマの進歩のデータを徹底的に調べ直しました。
私が特に注目したのは、「物の機能」の部分でした。

それで浮彫になった事実。

最初の会社=A。
今の会社=B。

A→物の機能を教えるのに使ったABA→DTT(Discrete Trial Training)
B→物の機能を教えるのに使ったABA→VB(Verbal Behavior)ベース

~レッスンの違い~
A

「これは何?」→「ハサミ」(E)
「ハサミは何をするために使うの?」→「切るため」(R)

B

「これは何?」→「ハサミ」(E)
「ハサミはどれ?(絵カードの中から)」→ハサミのカードを渡す(R)
「切るために使うのは?(絵カードの中から)」→ハサミのカードを渡す(R)
「ハサミをちょうだい。」→ハサミを渡す(R)
「ハサミは何をするために使うの?」→「切るため」(E)
「切るために使う物は?」→「ハサミ」(E)
故意にハサミが必要な状況を造って「ハサミ?」→「ハサミ」(E)
上に同じく   「ハサミ(が欲しい) 」→「ハサミが欲しいです。」と単語を増やして言えるようにプロンプトを出す(E)
※「手助け」「ヒント」を与える事。

(R)=Receptive→相手の言っている事を理解して行動を起こす。(言葉は出さなくてもいい)
(E)=Expressive→相手に伝える。→発語しなくてはいけない。

違いがわかるでしょうか?
A会社はいわばガチガチの型にはまった、2つの定型文のみを使って「ハサミ」だけの機能を教え込もうとしていました。B会社はABAの応用を利かせた方法で、色々な角度から「ハサミ」「切るため」をタマに示していましたし、ハサミ以外の物もレッスンに組み込んでいたので、調子がいいと、2時間半の自宅セラピーで複数個の物の機能をマスターする事ができていました。

そして、当時の会社提出書類を読み返してみると、なんと「60%正確にハサミの機能」1つしかマスターできていなかったにも関わらず、「このターゲットはマスターしました。」となっていたではないですか。
あちゃ~ !」
自己嫌悪 に陥りましたね。
どうしてもっとちゃんと見ていなかったんだろうと...。
言い訳にしかなりませんが、この時は最初の会社のセラピストのクオリティーが下がっていた頃。
もうやだ。」と思っていた時。プラス、毎日のバタバタの中、分厚いIEP+ABA会社が提出したレポートにもささっと目を通していた程度。本当にダメな私でした。

新しい会社になってからぐんぐん伸びた「物の機能」のマスターの数。
学校側からの「契約更新ナシ」という連絡がなければ見直す事もなかったかもしれない今までのデータ比較。
それでわかったタマの進歩の違いの理由。
「後悔してるヒマはない。不穏電話はいい事だったんだ。」と気持ちを入れ替える事ができました。

更に!
この年のIEPもよ~く読み返してみると、「あらぁ~?」学校側の
決定的ミスも見つけたのです。

「この討論、もらった‼」
確信しました。