Taproot〜アメリカ発。自閉症児タマ&教育の現場

自閉症児タマの母/特別学級職員のmakiが発信する日々のあれこれ。

カウンセラーの説明で把握した事はこちら。
➡ABAとはApplied Behavior Anaysis(応用行動分析)の略。
➡UCLA(カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校)のロバース博士が自閉症の症状改善のために開発したセラピー法(療育法)。
➡ABAを用いた早期セラピーで、「劇的」な効果も期待する事ができる。
➡ 「劇的」とは自閉症児からいわゆる健常児になれる的なレベル。
➡自腹で個人専属セラピストを雇ってABAセラピーをやろうものなら、月に50万円以上かかる。
➡ABAセラピストは民間企業から派遣される。

maki:「で?療育って具体的にどんな事をするんですか?」
カウンセラー:「それは、Apple Tree保育園に行けばわかります。ABAセラピー提供企業に、タマ専属のセラピスト派遣要請手配をするので、入園の手続きを早急に。」

タマはついにセレブな保育園、Apple Treeに入園。しかし 5ヶ月後には電撃退園。恐ろしやApple Tree。そこは非常にデンジャラスな保育園だったのです。驚愕の「はぁ?」の連続。例えば...
1)てきと〜な園長&スタッフ
自宅から毎日持参のランチ。「完食」と日誌に記されている日でも、自宅に戻ってまぁびっくり!朝に詰めたままの手つかず状態ということ数回。問い合わせると「ランチの時は見てなかったからわからない。」「今日が誕生日だった子の親御さんが、お祝いにみんなでってランチの差し入れを持って来てくれたので。」「間違えて「完食」に丸付けちゃいました。でも、ちゃんとスナックを食べてるから大丈夫です。」とか。
2) 偽言!「トイレトレーニングします。」
これまで好調にトレーニングが進んでいたタマ。Apple Treeに入園してから大小垂れ流し頻度激増。タマのバッグから毎日のように「もわ〜ん」とゆらめき出る高濃度の黄土色な臭い。《豆知識》汚れた下着はスーパーの袋にぽいっと入れるだけというのが、アメリカではどこの保育園でも普通 日本の保育園とは大違いです。スタッフに「トレーニングはどうなっているんですか?」と聞くと、「トイレが教室外にあるからなかなかタイミングが合わなくて。しばらくはパンツ式おむつにしてもらえますか?」とか。
3)放置保育
photo-2
お迎えに行くと...
⬅「試合後のボクサーか?!」と思わせるタマが。「何があったんですか〜?!」 と驚いて聞くと、「たまたま誰も見てなかったので詳しい事はわからないんですけど、噛む子にやられたんです。」と園長。この対応で、これまでの数々の状況に不信感を募らせていた私の堪忍袋の緒が「ぶちっ」と切れました。ココからは当時の感情を100%再現するために生の英語でお送り致します。
maki: "Are you kidding me right now? I'm not putting up with any of the bullshit that this preschool has given to Tama! I'm SO DONE with this place! I'm NOT sending Tama here anymore because I can take much better care of my son!" (あなた今ふざけてる?この保育園がタマにしてきたしょうもなくクソでもない事、もう我慢できません!こんな所もういいです!自分の息子は自分で見る方がよっぽどマシだから、もうこんな所には通園させません!)
Director: "Well, sorry. We are doing our best though..."(えっと、すいません。ベストを尽くしているんですけど...。)
maki: "Obviously, YOUR best doesn't meet with OUR needs, and this place is nothing but dangerous to any children with special needs!"(あなたのベストがタマと私のニーズには合ってないってのは明らかですよね。こんな所、障害のある子供達にとっては危険な所以外何モノでもないです!)
Director: "Ah, excuse me... You are gonna have to contact the counselor, I think..." (あ、すいません...えっと、カウンセラーに連絡しないといけないと思うんですけど...。)
maki: "GOOD BYE!" (さようなら!)
この日の夜、お兄ちゃんの保育園ではクリスマスコンサート。タマも、痛々しい顔で日本のnana(=アメリカで一般的に使われている「おばあちゃん」という英語。) にもらったお出かけ用の服を着て、お兄ちゃんのパフォーマンスを見に行きました。上の写真はコンサートでの写真です。
え?どうしてもっと早くApple Treeから退園させなかったかって?もちろん、退園に至るまでには何度もカウンセラーに電話でApple Treeの「気になる点」を話していましたよ。「ABAセラピストが来るからもうちょっとだけ待って下さい。今、必要書類を提出している所ですから。保育園には私からも指導しておきます。」というカウンセラーの言葉をそのまま信じて、「ABAセラピーでそんなにすごい改善が期待できるなら、もしかしたらタマだって!」と思っていた私がいたからでした。ダメでしたね。結局、ABAセラピストが保育園に来てくれたのは、入園から4ヶ月後。退園1ヶ月前でした。もう1つの理由は、Apple Tree専属のスピーチセラピストのジミー先生。タマは毎金曜30分、1対1でのスピーチセラピーを受けていました。「タマはもしかしたら耳の聞こえがあまり良くないかもしれないよ。"BALL"という音も最初の"Bah"の音しか聞こえていない様子ですね。1度検査をしてみませんか?」という先生の言葉で耳鼻科に行った結果、「耳に少し水が溜まっている」という事がわかり、耳にチューブを入れて水を出す手術をしました。ジミー先生は「もっとスピーチセラピーを増やした方がいいと思いますよ。」と最後に言ってくれました。
とにかく!Apple TreeとはGOOD BYE! ココからまたまた色々な事が始まります!笑
 P.S. Apple Tree保育園は、タマ退園の数年後、閉園になりました。

皆さんは「吹き戻し」というおもちゃをご存知ですか?

吹くとぴーっと笛が鳴って紙がしゅるしゅるっと伸びて、口を離すとピロっと紙が丸まるアレです。淵底にいた私はまさに「吹き戻し」状態。当時は専業主婦だった私。買い出し&子供のお迎え等、どうしても外出しなくてはいけない時には、ぴーっと自分をなんとかピンとする。「私は大丈夫」ってフリをするので精一杯。家にいると気持ちは丸こまっていました。自閉症の事。タマの事。私に何ができるのかわからなくて恐かった。

「自閉症だろうがなんだろうが、タマはタマなんだからいいじゃない。自閉症だからってどうするの?タマを放棄するの?」
そんなことするワケないでしょ。

「専門家として、タマの様な自閉症児をたくさん見てきています。不本意でも、私の言っている事に聞く耳を持ちなさい。」
聞いてます。自閉症=一生共にする障害。くらいしかまだわかっていないですけど。

「自分の子供が自閉症って診断されて安堵する親もいますよ。」
私はしてません。
「makiだったら大丈夫だって、神様が思ったから、タマはmakiの所に来たんだよ。」
キレイ事にしか聞こえません。

淵底には底なし沼もあったらしい...。私は沼にはまり込むのみ。みんな、「がんばれ~!」って言ってくれていたのですが、あの時は、苦しい心境を1人でもいい、誰かに少しでもわかって欲しかっただけでした。ザ☆ 自己中!悲劇の取扱い注意人物でした。そんな私を沼から引っぱり上げてくれたのは、アメリカで看護師をしている親友でした。「気持ちわかるよ~!子供の事で重い事を親に伝えなきゃいけない時って病院で何度も見て来て思うんだよね。言う方も辛いかもしれないけど、言われた方の親のサポートってのがちゃんとできてないな〜って。私も反省してるから。出来る事あったら遠慮なしね!毎日でも連絡して!」
やっとわかってくれる人がいた。

この言葉を聞きながら、ナイアガラの滝級の涙が勝手に溢れ出していました。
maki:「ちょっと待ってて〜!箱ごとティッシュ持って来るから〜!」
親友:「も〜!今、せっかくいい所だったのに〜!早く持っておいで〜!」
親友と2人で泣き笑いしました。淵底に差した光でした。
「大丈夫かもしれない。」初めてそう思いました。

一方タマは…。2歳になり、お兄ちゃんと同じ地元保育園に通っていました。「くるくる回り」「脅威の雄叫び」「人に興味を示さない」(家族や親友の子供とか、タマが赤ちゃんの時から知っている人には興味を示す)等、いわゆる自閉症「あるある行動」を連発していました。「言葉が話せません。出来ない事もたくさんあります。どうしても対処できない時には、連絡下さい。すぐに迎えに来ます。」と、先生方に毎日のように言っていました。先生方は「大丈夫ですよ。出来ない事ばかりに注目するんじゃなくて、タマが出来る事を一緒に見つけて行きましょうよ。」と、大らかに対応してくれました。お兄ちゃんも、タマとランチを食べたり、タマに寄り添ってお昼寝をしてくれていました。(⬅先生方に頼まれてですけど。ふふふ。小声で読んでやって下さい。)しかし カリフォルニア州契約下の発達障害者支援法人のカウンセラーから、切羽詰まっている感ありありの電話が頻繁に来るのです。「私が薦めるApple Tree保育園に転校させなさい。早くしないと、子供の脳が固くなってからでは遅いのですよ!自閉症に対する親の理解度が乏しいがために、タマみたいに今すぐ療育が必要な子供に、1日1日ムダな時間が過ぎ去っていると思うと、私は夜も眠れなくなるんですよ!」と。当時の日記に書いてあります。「カウンセラーにはあまりいい印象が持てない。」と。例えるなら、つい最近、不本意ながらも「自閉症児と学ぶ」という各停電車に、小さいけれどずっしり重たい荷物を背負ってやっと乗った私。だけど乗ってみたら、いきなり黒い袋を頭からすっぽり被されて、「えっ?あらっ?何コレ?」っと怪しい車のトランクに押し込まれるみたいな妙な圧迫/威圧感を感じていたのです。カウンセラーとの激しい温度差でした。
さて、このApple Tree保育園。カウンセラーによると、スピーチセラピー、タマ専属のABAセラピスト、保育料も州の公費で全て込み込み。つまり、タダ!デラックス条件てんこ盛りの超セレブな保育園。2歳時には意味のある言葉が全く無かったタマにとっては「最高の環境です。」by カウンセラー。転校させるしかない(?)と思いました。でも、「ABAって何?」。カウンセラーへの私からの質問でした。



あの「エルビス事件」から9年。
思い出し笑いもしながら、こんな風にブログを書いている自分が「今」いるなんて、あの時の自分には想像もつかなかったな〜。ブログを始めるにあたって、amigoさん、大西さん、M子さん、BaltimoreのTim、めぐきちさん、そして石橋さん。私の背中を押して下さり、心底感謝しています。ありがとう!

「エルビス事件」とは
「タマは自閉症なんかじゃない!そんなんじゃない!...よね?」という大きな不安の中に存在していた私のわずかな希望と祈りが 1枚の写真によって消え去った事件。
その写真がこちら。
photo今となっては、この写真の全部が「あー!いかにもタマ!」っと、ぷぷぷっと笑って見られる一枚ですが。タマ、この時2歳。ハロウィーンでエルビスのコスチュームをまとって、お兄ちゃんと写真スタジオへ。キッズ撮影専門のカメラマンは、変顔+笑える音で、とびきり笑顔の瞬間をショットします。お兄ちゃんの撮影はすんなり終了。でも、タマは...。大人でも笑えるカメラマンのどんな必笑技にも無反応。タマのハートは白いぽわぽわのボールにロックオン。このぽわぽわ。冬シーン撮影で使う雪の小道具。ハロウィーンとは無縁のアイテム。タマはぽわぽわをぽいっと落としては拾い、落としては拾い。何度ぽわぽわを取り上げても、驚異的な執念と叫びで追いかける...。繰り返す事数十分。最後は根負け。ぽわぽわは持たせおいて、カメラを見た瞬間にシャッターを切る事に。「もー!タマー!お願いだからちゃんとしてー!」「本当にごめんなさい!」と汗垂れ流しまくり+動揺しまくりでカメラマンに謝る私。タマ=「ぽわぽわ〜 」カメラマン=「No problem! 子供は遊ぶ事が仕事なんだから!」。やっとの思いで撮影終了。〜そして1週間後〜
現像されたこの写真を見た時、私は悟りました。

「やっぱりタマは自閉症なんだ」
と。

腰のうねり&超ハイウェストポジションにズレてしまった黄金ベルトは語る。興味の無い写真撮影なんかにじっとしている事ができないタマ。
ぽわぽわ命。周りの状況を全く把握していないタマ。
私達と同じ次元空間を見ているとは思えない表情のタマ。
この悟り。電撃度「maki史上最大」だったため、生気が全部吸い取られ、涙さえも出ず、体内にとっても冷たい悪寒が走ったのを覚えています。私は一気に「お先真っ暗が淵」の淵底へ転落しました。
しかし!この先、色々な人達との出会いや療育で、私は淵底から脱出するのです。次回のブログでは、タマと歩いた道を交えながら、こちらでの療育体制と実践療育をお伝えします!

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